一志会 2010年10月に発足した限定メンバーによる
新しい形のコミュニティ

「一志会」第73回の例会が開催されました。

2023.02.24 更新

大田弘子氏

一志会は、「公の精神」のもとに積極的に社会的責任を果たそうとの想いを共有する大企業経営幹部の「コミュニティー」です。2月22日(水)に、コロナウイルス対策に万全を期して、第73回例会を開催しました。

ゲストとして、大田 弘子氏(政策研究大学院大学 学長、元内閣府規制改革推進会議議長、元経済財政政策担当大臣)をお迎えし、「日本の政策決定の問題点 ~規制改革を中心に~」と題したご講話をいただきました。

大田氏は、日本企業の成長のために規制改革が必要であることが1990年代から現在まで強く求められてきたにもかかわらず、「規制改革は遅々として進んでいる」というスピード感に欠ける状況なってしまっている現状について、内閣府規制改革推進会議議長として自らも規制改革に取り組んでこられた経験談を交え、お話しされました。

そして、変わりにくい日本の制度・規制として「『業法』による縦割りの規制構造」、「供給側の現状維持を図る力の強さ」、「まずやってみようということが出来ない雰囲気」の3つの点を挙げ、それらが社会や政策に大きなイノベーションをもたらす「デジタル化」への対応の遅れをもたらすとともに、日本の持つ技術・人財・資金等を活かせていない状況を生み出していることを、オンライン診療やタクシーの貨物運送を例にご説明いただきました。

参加者からは、『なぜ、政府は大きい変化を望まないのか』などの質問があり、大田氏は、ご自身が苦労されたエピソードを交え丁寧に回答され、参加者はぐっと聞き入っていました。

締め括りに、「学ぶことを学ぶ責任が、私たちにはある」という言葉を引用し、過去の経験から学ぶことの大切さ、供給側の事情が優先される日本の政策決定プロセスの問題に粘り強く取り組むことの重要性を説かれました。そして政府だけでなく産業界も含めて、優先順位をつけて規制改革を議論していく必要があるとされました。

その後、会員企業の人事異動に伴う後藤・日本信号執行役員、阪井・電通PRコンサルティング執行役員、中間・ラック執行役員の挨拶がありました。

さらに、松本・ソニー副社長、梅田・住宅あんしん保証代表取締役社長、奥田・阪急電鉄取締役、小野・三井住友銀行常務執行役員、小古井・東日本旅客鉄道 戦略・CXユニットリーダー、赤尾・資生堂ジャパンチーフセールスケイパビリティオフィサー、中山・蝶理上席執行役員、西本・広栄化学代表取締役社長、原田・日本政策投資銀行常務執行役員、松浦・ハーフ・センチュリー・モア代表取締役副社長、石井・石井鐵工所専務取締役から近況報告をいただきました。

今回も、交流時間では、ゲストを囲んでの意見交換や、会員間の懇談の輪がいくつもできました。にぎやかに談笑が続く中で予定の時刻を迎え、次回例会での再会を約して、閉会となりました。

交流の様子

*経歴

大田氏は、1976年一橋大学社会学部卒。1996年埼玉大学大学院政策科学研究科助教授を経て、97年政策研究大学院大学助教授,2001年同教授。2002年に内閣府に出向し、経済財政分析担当の参事官、大臣官房審議官、政策統括官を務める。2005年に大学復帰後、2006年より安倍・福田両内閣で経済財政政策担当大臣。2008年8月大学に復帰、2009~2011年同大学副学長、2019~2022年同特別教授。2022年9月~同学長。専門分野は経済政策・財政政策。ENEOSホールディングス、日本取引所グループ社外取締役。

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