一志会 2010年10月に発足した限定メンバーによる
新しい形のコミュニティ
「一志会」第71回の例会が開催されました。
2022.10.28 更新
一志会は、「公の精神」のもとに積極的に社会的責任を果たそうとの想いを共有する大企業経営幹部の「コミュニティー」です。10月26日(水)に、コロナウイルス対策に万全を期して、第71回例会を開催しました。
ゲストとして、工藤 勇一氏(横浜創英中学・高等学校 理事/校長、教育再生実行会議委員、内閣府 規制改革推進会議専門委員、経済産業省 産業構造審議会臨時委員)をお迎えし、「社会の変化とこれからの学校の姿 〜自律と対話〜」と題したご講話をいただきました。
工藤氏は、千代田区立麹町中学校で数多くの改革を実行されてきた事例をご紹介され、ビックマックの価格を例にとって世界の中で日本の力が大きく下がっている状況を説明され、急激に変化している世界の中、従来のビジネスモデルが通用しない今こそ教育の本質を取り戻すことが重要であると述べられていました。
また、15歳での学力は世界トップクラスでありながら、日本の若者は将来の夢を持っていない人や自分で国や社会を変えられると思わない人が他の国に比べ極めて多い。これは、与え続ける教育が、主体性や当事者意識を失わせ自己肯定感をも低くしていると分析する一方で、欧米は学習者主体のカリキュラムを自ら学べるようなスタイルで子どもの個性を排除せず、その結果強い個性を持つ起業家等が輩出されていることを踏まえ、これからは自己で決定し、自分を俯瞰的に見つめる「自律型の人材」を育てることが重要だとお話しいただきました。
締め括りに、人はそれぞれ違っているにもかかわらず、日本では対立を「思いやりの心」で解決しようとするが、それでは解決できない。当事者意識を持たせ、感情をコントロールし、考えを修正し、お互いの利害の対立を解決するような「対話」で解決する訓練を行うことが分断の時代を生きる子どもたちには必須であると述べられました。
自律と対話を重視したこれからの学校の姿を問い、日本の未来を思う工藤氏の力強いメッセージに、会員は熱心に耳を傾けていました。「教育というのは本当に子供の個性や能力により変えるべきものだという工藤先生のご意見は当たり前なのに、当たり前にできていないことだと思います。 日々、若手社員の指導に悩む中、大きなヒントを頂きました。」という会員の声もありました。
その後、田上・日本信号業務執行理事、堆TAKARA & COMPANY代表取締役社長、黒田・東横イン取締役代表執行役社長、土本・平和不動産代表取締役社長、品川・レシップホールディングス取締役、野村・興和取締役、山田・サンフロンティア不動産専務取締役、浦川・パロマ取締役副社長、柴山・大和リゾート代表取締役社長、タン・エイピーピー・ジャパン代表取締役会長から近況報告をいただきました。
今回も、交流時間では、ゲストを囲んでの意見交換や、会員間の懇談の輪がいくつもできました。にぎやかに談笑が続く中で予定の時刻を迎え、次回例会での再会を約して、閉会となりました。
*経歴
工藤氏は、1960年山形県鶴岡市生まれ。鶴岡南高校卒業。東京理科大学理学部応用数学科卒業。山形県公立中学校教員、東京都公立中学校教員、東京都教育委員会を経て2014年千代田区立麹町中学校の校長に就任。「自分で考え 判断し 決定し 行動する力」を持った人間力ある若者の育成を目指し宿題廃止、定期テスト廃止、固定担任制廃止などの教育改革を実行、経済産業省研究会委員などを歴任。2019年より、私立横浜創英中学・高等学校 校長