一志会 2010年10月に発足した限定メンバーによる
新しい形のコミュニティ

「一志会」第61回の例会が開催されました。

2021.03.03 更新

 一志会は、「公の精神」のもとに積極的に社会的責任を果たそうとの想いを共有する大企業経営幹部の「コミュニティー」ですが、2月24日に、コロナウイルス対策に万全を期して、会場参加とオンライン参加を併用するハイブリッドな方法で、第61回例会を開催しました。

大西洋氏

 ゲストとして、長年、消費者に一番近いところでの事業に関わってこられた大西洋氏(日本空港ビルディング取締役副社長、羽田未来総合研究所代表取締役社長、元三越伊勢丹ホールディングス代表取締役社長)をお迎えして、「マーケティングと人財、それを支える仕事の哲学」と題したご講話をいただきました。

 大西氏は1955年東京生まれ、1979年慶應義塾大学商学部卒業、同年伊勢丹入社、婦人服が主流の中で、紳士服の販売で画期的な成功をおさめ、業界で一躍脚光を浴びました。その後、執行役員などを歴任して、2009年に常務執行役員と三越取締役常務執行役員を兼任、同年6月から伊勢丹社長、2012年に三越伊勢丹ホールディングス代表取締役社長に昇格し、新しい百貨店像に挑戦されましたが、2017年退任。2018年日本空港ビルディング取締役副社長に就任するとともに、新設の羽田未来総合研究所の代表取締役社長に就任し、羽田空港を基盤としたマーケティングや地方の良さを内外に知らせる地方創生のシンクタンクとしての活動に注力されています。一柳とは、経営の在り方について語り合う長年の友人です。

 大西氏は、冒頭、自己紹介としてこれまでの経歴に転機が10回あったことを具体的に説明し、その過程を通じて、広い視野と人間力を培ってきたことを話されて、まず聴講者の心をわしづかみにされました。そのうえで、日本社会の課題解決について特にマーケットの切り口からの考えを述べられましたが、≪発想を切り替える≫、≪強みを生かす≫ことの重要性を強調され、続いて≪画期的なイノベーション≫、≪長期的な視野に立った経営≫、≪顧客へのこだわり(マーケティングと人財)≫へと展開されました。
 その中で、これまでの経験から、イノベーションは、一人の”妄想”から生まれるとされ、個人の思いを起点に「場」をつくり、「ビジョン」を発信し、少数精鋭の仲間をつくり、自由な場(辺境)で多様な人との交流が創造の源泉となる、という指摘は、印象的でした。
 そして、羽田空港において新しく取り組んでいる顧客マーケティングの状況(空港内での待ちの姿勢から空港外への攻めの姿勢)、そして羽田未来総合研究所での全国各地に眠っている優れた技術・逸品・食材を発掘し、磨き上げて内外に発信するという取り組みについて、もの静かな語り口ながら熱く語られ、新規事業に果敢にチャレンジされていることが伝わってまいりました。

 質疑では、会場からだけでなくオンライン聴講者からも、経営者として守らなければならいないことは何か、社外役員の選任と役割、企業価値の判断、ティール型組織と階層型組織の考え方、ゼロイチ(まだ世の中にない新しいモノやサービスを生み出すこと)への対応、地方創生の取組みなど、質問が相次ぎましたが、大西氏は一つ一つ丁寧に、率直にご自分の考えを述べられ、感銘を与えました。

 その後、会員の太田・電通パブリックリレーションズ取締役専務執行役員、柴山・大和リゾート社長、井戸・パナソニック役員、タン・APPジャパン会長、澤井・ダイキン工業執行役員、坂本・パラマウントベット常務取締役、坂本・SMBC日興証券常務執行役員、石井・石井鉄工所専務取締役、古川・TMAC社長、浦川・パロマ専務取締役、生田・ミクニ社長から、コロナ感染が収まらない中での苦労話などの近況報告があり、引き続きの交流時間ではゲストを囲んでの懇談など、大いに盛り上がりました。

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