一志会 2010年10月に発足した限定メンバーによる
新しい形のコミュニティ
「一志会」第84回の例会が開催されました。
2024.12.01 更新
一志会は、「公の精神」のもとに積極的に社会的責任を果たそうとの想いを共有する企業経営幹部の「コミュニティー」です。11月28日(木)に、第84回例会を開催しました。
今回は宮原博昭氏(㈱学研ホールディングス代表執行役社長)から、「学研V字回復の軌跡-逆風に立ち向かう使命と覚悟の経営」と題したご講話をいただきました。
最初に動画で学研グループのあゆみや使命など現在の会社の概要をご紹介いただきましたが、2010年の社長就任時には売上は最盛期から半減し、内部留保もなくなり、学研は倒産寸前のがけっぷちの状況だったとのことです。そのような中、初の営業出身の社長となり、V字回復を果たし15期連続増収となり、前期は1856億という過去最高の売上を計上するに至りました。またその歩みは、祖業を守るため、新規事業やM&Aは編集戦略(紙の教材に人をつける学研教室から塾)と営業戦略(高齢者等のニーズを発見し、介護、保育、緩和ケアへ)を軸に展開されたとのことです。このことはお客様に継続してサービスを提供できる(=お客様が動いていける)業態の拡大につながり、シナジーを発揮したとのことでした。
生き残りをかけ、時間をかけて勝つまでの5通りの戦略を立案するとともに、戦略(組織に徹底するためのSTORY)に加え、戦術(CASTING)と戦闘(TEAM SPIRIT)の3つをセットに、自身の知識外、経験外の情報も得ながら実行されたのとことでした。また高齢化する社員とともに内部改革に専念するため、塾の新校舎設立やM&Aは3年間凍結し、医療福祉事業に一点集中したとのことです。またPDCAではなくOODA(修正力)により迅速な対応を進めるとともに、次世代を担う人材育成のため40代のジュニアボードを作り、新規事業創出のための企画を推進されたとのことでした。
最後に、創業の精神である「ゼロからイチを作る、世のため人のため」を復活し、たゆまぬ挑戦を続けるためにフラクタルで持続的に成長するアメーバ組織を目指すとのお話と、「一燈を提げて暗夜を行く。暗夜を憂うることなかれ。ただ一燈を頼め。(佐藤一斎)」という信条をご披露いただき、お話を締められました。
質疑応答では、後継者育成に関してジュニアボードの人選や戦術(CASTING)・戦闘(TEAM SPIRIT)に関する質問に対して、人材育成には時間をかかる。社内だけでなく、外部からの中途人材に適材を求めることも一策、というお話をいただきました。特にグローバルへの進出には外部人材の活用が不可欠だったとのことです。
会員からは、「”祖業を守るために「教育」と「医療福祉」の2本柱を目指す”という言葉に最初から惹きつけられました。V字回復を実現されたビジネスモデルを伺い、自分の事業でもプラスになる事がありました」や「戦略、戦術、戦闘を整理され、かつ5パターンものシナリオをギリギリまで悩み、検討されての経営の断行に感銘いたしました」などの感想が寄せられました。
この後、会員卓話を中間俊英・㈱ラック常務執行役員より「今必要なサイバーセキュリティ」をテーマにお話しをいただきました。
続いて新会員の竹澤香織・ソニーグループ㈱執行役員からご挨拶をいただき、木上・西日本電信電話代表取締役副社長、一色・岩谷産業常務執行役員、黒田・東横イン取締役代表執行役社長、寺田・アート引越センター代表取締役社長、濱千代・キューピー取締役上席執行役員、原田・日本政策投資銀行常務執行役員、松浦ハーフ・センチュリー・モア代表取締役副社長から近況報告をいただきました。
歓談交流時には、会場の至る所で会員間の談の輪ができ、にぎやかに談笑が続く中、次回例会での再会を約して、閉会となりました。
*宮原博昭氏経歴
1959年7月8日、広島県生まれ。防衛大学校卒業後、貿易商社を経て、1986年に株式会社学習研究社(現 学研ホールディングス)入社。学研教室事業部長、執行役員、取締役を歴任し、2009年学研ホールディングス(以下HD)取締役に就任。学研塾HD、学研エデュケーショナル、学研教育出版の代表取締役社長兼任を経て、2010年12月、学研HD代表取締役社長に就任。教育と医療福祉を中核とした事業改革を牽引し、15期連続増収のV字回復を果たす。