一志会 2010年10月に発足した限定メンバーによる
新しい形のコミュニティ
「一志会」第79回の例会が開催されました。
2024.02.26 更新
一志会は、「公の精神」のもとに積極的に社会的責任を果たそうとの想いを共有する大企業経営幹部の「コミュニティー」です。2月21日(木)に、第79回例会を開催しました。
ゲストとして、一柳の長い友人である紫舟氏(書家/芸術家)をお迎えし、「書を平面から解放した作品~地獄絵梵焼までご紹介」と題したご講話をいただきました。紫舟氏は、平面の書を立体にし、「書」の新しいアートを生み出し、ロダンやマティスなども会員だったフランス国民美術協会からも絶賛される、今、国内外で最も注目されている女性アーティストの一人です。
紫舟氏は、まず作品づくりについて、日本の思想、伝統文化を現代の感覚に再構築したものを世界に発表し、同時に日本とはどういう国かということを伝えようとしているとお話しされ、制作風景やNHK「龍馬伝」などの著名な作品を映像にて紹介されました。
次に、「日本と西洋のチガイ」として、目線(西洋は中央を見る)、目の動きや時間軸(日本は右から左)、調和(日本は左右非対称、中央を避ける)、文字の書き方(日本は右回り)、密度(日本は余白を好む)、空間(日本は直線的)、色の好みなど、具体的な事例を交え説明されました。
その上で、文字が紙などの伝統から解放されて3次元の立体になった作品を紹介し、プロセスを大事にする日本の文化を表現していることについてお話しいただきました。
また、新型コロナのパンデミックを受け、地獄絵を描き、それを金峯山寺にて焼く(この世の地獄を消失させる)というプロジェクトを紹介され、NFTの力も借り、アートの持つ力で人を癒して行く取組み、また金峯山寺の説く「恕す(ゆるす)」(思いやりの心で相手を完全に恕す)について説明されました。
最後に、これから作って行きたい作品として、人を癒したり救ったりする、アートを処方する「未来の病院」について語り、講話を結びました。
質疑応答では、「自分がやりたいことと、西洋人に認めてもらうマーケティング的手法をどう理解すれば良いか」との質問に対し、「自分が伝えたいことを受けた人が理解して初めてコミュニケーションが成立する、日本の文化の香りを残しながら彼らに理解されるようにちょっとずつやって行く」、「平面の字からどうやって立体を思い浮かべるのか?」には、「筆を強く押したり軽く跳ねたりという筆圧で」、また、「6歳から書を始めてどのようにしてアーティストとなったのか?」には、「才能やセンスは、集中力と洞察力(物事の本質を見抜く目)ではないかと思い至った」などと回答され、参加者はなるほどと頷きながら聞き入っていました。
その後、新会員の佐藤・東京電力パワーグリッド常務執行役員から挨拶があり、「財界」誌の「経営者賞」を受賞した清明・マネックスグループ代表執行役社長CEO、「外食アワード2023」を受賞した鈴木・鈴茂器工代表取締役社長から、それぞれスピーチがありました。次いで古川・TOKYO企業情報代表取締役、眞鍋・コスモエコパワー取締役専務執行役員、奥田・阪急電鉄取締役、吉田・ミスミグループ本社常務執行役員ID企業体社長、加藤・セガサミーホールディングス執行役員ITソリューション本部長、中間・ラック執行役員、西本・広栄化学代表取締役社長、浦川・パロマ取締役副社長、田端・日本取引所グループ常務執行役CFO、タン・エイピーピージャパン代表取締役会長兼社長から近況報告をいただきました。
今回も、交流時間では、ゲストを囲んでの意見交換や、会員間の懇談の輪がいくつもできました。にぎやかに談笑が続く中で予定の時刻を迎え、次回例会での再会を約して、閉会となりました。
*紫舟氏の経歴
幼少より書や日本舞踊などの教養を身につけ、奈良・京都で幅広く伝統美術の研鑽を積む。
「書」を、平面や伝統文化の制約から解放した『三次元の書』をはじめ、書が絵画と融合した『書画』、象形文字が再び命を宿し動き始める『メディアアート』など、伝統文化を新しい斬り口で再構築した書の作品は、唯一無二の現代アートと言われている。国内では、天皇皇后両陛下(現上皇上皇后両陛下)に紫舟展を行幸啓される(2017)。世界遺産金峯山寺にて15mの地獄絵を約30名の僧侶がお焚き上げ行う(2023)。
世界では、フランス・ルーブル美術館地下会場にて開催されたフランス国民美術協会展において、書画で金賞、書の彫刻で最高位金賞と、日本人初の金賞ダブル受賞。「北斎は立体を平面に、紫舟は平面を立体にした」と評される(2014)。翌年同展にて世界で1名の「主賓招待アーティスト」に選出され、日本人では横山大観以来、現存日本人初。