一志会 2010年10月に発足した限定メンバーによる
新しい形のコミュニティ
「一志会」第78回の例会が開催されました。
2023.12.04 更新
一志会は、「公の精神」のもとに積極的に社会的責任を果たそうとの想いを共有する大企業経営幹部の「コミュニティー」です。11月30日(木)に、第78回例会を開催しました。
ゲストとして、森川 博之氏(東京大学大学院教授)をお迎えし、「デジタルエコノミー時代のテトリス型経営~共感×つなぐ×巻き込む~」と題したご講話をいただきました。森川氏は、象牙の塔にこもって理論を研究するだけでなく、現場に出るのも大好きで、ITやデジタルの難しい話もわかりやすく説明してくれる先生です。
森川氏は、まず、現在は新型コロナのパンデミックにより、歴史的な大きな変革の時期にあるが、今後どのように変わって行くかは誰にもわからない。こうした中、テトリス型経営、つまりテトリス(パーツ)をうまくつなぎ合わせることによって大きな価値を産み出して行くことが必要であり、テクノロジーは一つのパーツであること、またテクノロジーだけでなく、顧客目線との組合せが必要であると、事例を交えて説明されました。
更に、これからのイノベーションは大企業主導の時代となる、なぜなら、スタートアップは一つの小さなパーツを持っているだけだが、大企業は社内にパーツがたくさんあり、これに外部のパーツを組み合わせて、価値を高めることができるとお話しされました。
また、イノベーションを起こすためのタスク型ダイバーシティについて、バックグラウンドが異なる人達を集めることで「気づき」を得ることについても説明されました。事例として、Beyond5G社会実装支援プロジェクトのレジェンドチームとコレクティブインパクトチーム(デザインガール)の共同作業の様子などを挙げ、その中で、デザインガール達の研究・技術を知りたい、日本の未来を作ることを応援したいという「愛」が原動力になっているとお話されました。
最後に、スペースXがスターシップ打ち上げ失敗の際に、スタッフが「すばらしいデータが得られた」と歓声を上げている動画を見せ、失敗からの学びの重要性を説き、利他と共感と信頼で巻き込み、新たな価値を創り出して欲しいと参加者にメッセージを送り、講話を結びました。
質疑応答では、「生成AIの行方をどう見るか?」との質問に対し、「言葉以外の画像、音声等色々なデータがくっつき、それぞれの産業領域の中に入って行く」、「社内の変革を推し進める仕掛けは?」には、「女性を活用すると良い。女性は共感したら回りを感化していく」と回答され、一柳も「利他と共感に加えて、自分事に落とし込むこと」と応じ、参加者はなるほどと頷きながら聞き入っていました。
その後、吉岡・アスクル代表取締役社長CEO、赤尾・資生堂ジャパンエグゼクティブオフィサー常務チーフストラテジーオフィサー、梅田・住宅あんしん保証代表取締役社長、小野・三井住友銀行常務執行役員、小古井・東日本旅客鉄道戦略・CXユニットリーダー、中山・蝶理上席執行役員、原田・日本政策投資銀行常務執行役員、松浦・ハーフ・センチュリー・モア代表取締役副社長、片岡・日本ハム取締役執行役員東京支社長、柴山・スポーツクラブNAS代表取締役社長から近況報告をいただきました。
今回も、交流時間では、ゲストを囲んでの意見交換や、会員間の懇談の輪がいくつもできました。にぎやかに談笑が続く中で予定の時刻を迎え、次回例会での再会を約して、閉会となりました。
*経歴
森川氏は、1965年生まれ、1987年東京大学工学部卒業。1992年同大学院博士課程修了。博士(工学)。2006年東京大学大学院教授。モノのインターネット/ビッグデータ/DX、無線通信システム、クラウドロボティクス、情報社会デザインなどの研究に従事。電子情報通信学会論文賞(3回)、情報処理学会論文賞、ドコモモバイルサイエンス賞、総務大臣表彰、志田林三郎賞、大川出版賞など受賞。