構想エネルギー21研究会エネルギー産業構造の変革期が訪れようとしています
一柳が代表幹事を務める構想エネルギー21研究会の第144回勉強会を開催しました
2023.01.23 更新
2023年1月19日 当社社長一柳が代表幹事を務める構想エネルギー21研究会の第144回勉強会を開催しました。今回は『我が社のサステナビリティ経営の現況』というテーマで、モデレーターを当研究会幹事の武石礼司が担当し、様々な取組みをされているメンバー3社のご担当の皆様から発表してもらいました。
㈱INPEX経営企画本部 経営企画ユニット ジェネラルマネージャー 長谷川健二様
川崎重工業㈱ 執行役員 マーケティング本部 本部長 柿原アツ子様
三井不動産㈱ サステナビリティ推進本部 環境・エネルギー事業部長 中出博康様です。
INPEX社では、同社の経営理念としてのパーパスについて、「私たちは、エネルギーの開発・生産・供給を、持続可能な形で実現することを通じて、より豊かな社会づくりに貢献します」と宣言しています。2030年頃に目指す姿として、サステナビリティの最大の課題である石油・天然ガスの供給について、徹底したクリーン化を前提に安定供給を継続・拡大し収益基盤として強化・拡充していきます。それと共に、ネットゼロ5分野(水素アンモニア、CCUS、再エネ、メタネーション、森林)へ最大1兆円程度を投入し、営業キャッシュフローの1割程度を目指すとしています。長谷川様は、人材確保・評価機関の評判・石油天然ガスの今後の需要予測の見方などの質問に回答されました。
柿原様からは、現在は「平時のCSR」から「気候変動やパンデミックが現実化し有事のサステナビリティ」となっており、社会・環境のサステナビリティのため、より積極的な企業行動が期待されているとの指摘がありました。この点については、同社の創業者の「その技を通じて国家社会に奉仕する」との事業選択の基軸に相通じるものがあるとのことです。
同社のサステナビリティ経営方針の重点は、社会課題への挑戦、責任ある企業行動、経営基盤の強化の3点です。世界が困難に直面する中、社会課題ソリューションをタイムリーに提供できる企業体質の変革を志向しています。新規分野として医療ロボット、PCR検査事業、無人VTOL(垂直離着陸機)などを手掛けています。柿原様は、循環型ビジネスの可能性、水素事業への注力、半導体ロボットなどの質問に回答されました。
三井不動産社では、かなり以前の2000年頃から&EARTHのロゴを掲げ「同社グループの街づくりが常に地球と共にあることを認識し、人と地球がともに豊かになる社会を目指していること」をグループステートメントとしています。本日は、6項目の重点目標のうちの「環境負荷の低減とエネルギーの創出」についての説明がありました。脱炭素社会の実現に向けて、建物の建築・運用・売却の3フェイズで脱炭素化を進めていく必要があり、自社の努力に加えて他社(テナント、建設会社、資材メーカー、分譲物件購入者)を巻き込んだ対策が必要になることが、同社の特色です。更に、都心の大規模再開発内にエネルギー拠点を構築して街に電気と冷暖房を供給し、発電時排熱を冷暖房に利用することで、年間約5万tのCO2削減効果を実現し、広域停電が起きても電気+冷暖房の供給を継続するBCPの取組みを行っているとの説明がなされました。
最後に、3社についての質疑応答では、「各社の素晴らしい取組みを国内外に大いに発信する戦略的発想の必要性」および「サステナビリティ対策によるコスト増を価格転嫁し収益増に繋げられる方策」或いは「政府のカーボンプライシング導入の影響」などについて本音の意見交換で大いに盛り上がりました。
その後3年ぶりに開催しました新年懇談会に移り、出席者からは「3社のそれぞれの真摯なサステナビリティへの取組みについて、自社の対策を推進するヒントをたくさん貰いました。」或いは「この研究会には、様々な企業や団体の方々が参加されており、多様な意見が聞けて大いに参考になります。今年もしっかり勉強していきたい。」などの声がありました。