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一柳が代表幹事を務める構想エネルギー21研究会の第125回勉強会を開催しました

2020.03.20 更新

須田 義大 氏

 2020年3月17日 当社社長一柳が代表幹事を務める構想エネルギー21研究会の第125回勉強会を開催しました。今回は、東京大学教授 モビリティ・イノベーション連携研究機構長 生産技術研究所次世代モビリティ研究センター 工学博士 須田義大様に登壇頂き、「モビリティ・イノベーション-CASEとMaaSによるモビリティ社会の変革」とのテーマでお話し頂きました。
 
 まず、須田先生の研究開発の現場の概要についての説明がありました。
2005年に設立した「次世代モビリティ研究センター(ITS=Intelligent Transport System センター)」では、安全・円滑・快適でサステナブルなモビリティ・システムの実現に向けて、ヒト・インフラ・車両のモビリティの三要素の連携、技術分野の融合、産学官連携およびモード融合を推進しております。
 上記ITSセンターを中心に2018年に設立された「東京大学モビリティ・イノベーション連携研究機構」では、自動運転を中心とした革新的なモビリティ研究の日本における最先端の総合的な研究組織を目指して、 学内の各部局が連携する形で、柏キャンパスを主なフィールドとして活動します。 イノベーションのデザイン・ビッグデータ解析・ヒューマンインタフェース(HMI)の基礎研究を推進し、学の連携・融合によるモビリティ・イノベーションに資する知の体系化と地域社会実装を推進しております。

 次に、CASEとMaaSの概念についての説明がありました。
CASEについては、2016年にダイムラーが提唱したもので、繋がる車・自動運転・シェアサービス・電動化を目指しており、従来の自動車の概念が全て変わって、電車に代わると言っても過言ではありません。その後各国の自動車メーカーが追随しています。
 MaaSとは、車がどんどんCASEを進化させた先にあるもので、自動運転により移動すること自体をサービスと捉え、車だけでなく自転車のような個人的乗物から電車バスといった公共交通も含まれます。MaaSアプリを利用して最適な移動の経路検索から予約や支払いまで一括で可能にするものです。

 日本のMaaSアプリは、大都市交通問題、過疎のモビリティの問題、観光インバウンドの3つの形態で議論検討されており、その普及についての課題は以下の通りです。
・モビリティにおけるエコシステム構築 ・ユーザーの視点 ・事業者の生き残り ・産業の発展 ・新規ビジネスモデル ・データ連携 などです。
それらを解決するために取組んでいる3つのプロジェクトの紹介がありました。
① 柏の葉キャンパス駅・東京大学柏キャンパス間の公道での「自動運転バスの営業運行実証実験」
② 羽田空港における大型自動運転バス実用化に向けた実証実験
③ 高速道路(新東名)での後続無人隊列走行実証実験

 質疑応答では、「実証実験から事業化までのハードルの高さ」、「海外と協力する国際連携」、「GoogleなどのGAFAとの距離感」、「エコシステムにおける保険会社の役割」、「サイバーセキュリティ対策」、「自動運転の倫理問題」、「事故の刑事責任の所在」などについての率直な意見交換で大いに盛り上がりました。

 その後の懇談会の出席者からは、「須田先生の実証実験における産学官の多彩な顔触れに驚かされました。」或いは「海外との強力な国際連携に成功しMaaSにおいて日本モデルの構築を実現して欲しい。」などの声が有りました。

【講師ご略歴】
須田 義大 (すだよしひろ、1959年 – ) 工学博士
東京大学 教授 モビリティ・イノベーション連携研究機構長
生産技術研究所 次世代モビリティ研究センター               
工学博士
<学歴>
1978年4月~1982年3月 東京大学工学部機械工学科卒業
1982年4月~1984年3月 東京大学大学院工学系研究科修士課程修了
1984年4月~1987年3月 東京大学大学院工学系研究科 博士課程修了(工学博士)
<職歴>
1987年4月~1989年3月 法政大学工学部機械工学科 専任講師
1989年4月~1990年3月 法政大学工学部機械工学科 助教授
1990年4月~2000年3月 東京大学生産技術研究所 助教授
2000年4月~  東京大学生産技術研究所 教授
2000年4月~  東京大学国際・産学共同研究センター 教授
        東京大学 生産技術研究所 教授(兼務)
2006年4月~  東京大学 大学院情報学環 教授(兼担)
2007年4月~2018年3月 東京大学 生産技術研究所 千葉実験所 所長 
2008年4月~  東京大学 生産技術研究所 教授(本務)
2009年4月~   東京大学生産技術研究所先進モビリティ研究センター教授
2010年4月~2014年3月 東京大学生産技術研究所
先進モビリティ研究センター センター長
2014年4月~2018年3月 東京大学生産技術研究所
次世代モビリティ研究センター センター長
2018年7月~   東京大学モビリティ・イノベーション連携研究機構長
この間1991年から1993年までカナダ・クイーンズ大学 客員助教授

研究分野:マルチボディダイナミクスによる鉄道車両の運動解析、車輪とレールの接触力学、車両の動揺制御、機械力学・制御工学、ITS(高度道路交通システム)、人間工学・快適性評価、自動車工学、鉄道車両工学など

主な著作:パソコンによる制御工学、鉄道車両のダイナミクス 最新の台車テクノロジー新技術融合シリーズ第5巻 車両システムのダイナミックスと制御

主な受賞:日本機械学会論文賞 2回、日本機械学会技術賞、日本鉄道技術協会論文賞、自動車技術会フェロー、日本機械学会フェロー、英国機械学会論文賞など

学会等役職:鉄道総合技術研究所理事、ITS Japan 理事、自動車技術会 理事・
副会長、日本鉄道技術協会 理事、自動車安全運転センター評議員、運輸安全委員会専門委員(国交省)、自動車製造物責任相談センター審査委員

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