構想エネルギー21研究会エネルギー産業構造の変革期が訪れようとしています
一柳が代表幹事を務める構想エネルギー21研究会の最終回の「お別れ懇談会」を開催しました
2024.09.09 更新
2024年9月5日 当社社長一柳が代表幹事を務める構想エネルギー21研究会の最終回の「お別れ懇談会」を開催しました。
記念講演では、本年6月まで10年間に亙り原子力発電環境整備機構(NUMO)理事長を務めました近藤駿介様にテーマ『原子力発電が我が国の持続的発展に貢献できるために関係者がなすべきこと』のお話しを頂きました。
はじめに、原子力発電所の再稼働を急ぐべきとされました。ロシアによるウクライナ侵略に起因してエネルギーセキュリティの確保の重要性が高まり、我が国がGX(グリーントランスフォーメーション)の観点から温室効果ガス排出削減の厳しい目標にコミットしたからです。しかし、現状では多くの原発が審査中または未申請の状態にあります。電力会社が申請を逡巡したり審査に時間がかかっているのは、新規制基準において自然災害対策の強化(より頻度の低い厳しい事象が設計基準事象に選ばれる)、重大事故対策の重層化(過酷事故の防止のみならず影響緩和のための施設の設置が求められる)、テロ対策(航空機テロによる大規模火災の発生が重大な災害をもたらすことを防止できる設備が求められる)などの新たな要求が課され、設計基準事象の確定、追加工事に要する費用の妥当性の吟味、増設設備設置場所の確保と輻輳する関連工事の実施などに、発電所所有者が苦吟していることにあるとの説明がありました。
次に、再稼働後、稼働を継続していくためには、使用済み核燃料の中間貯蔵能力の拡充、六カ所再処理工場の安定操業、プルトニウム利用、廃炉の取り組み、そして、低レベルから高レベルまので放射性廃棄物の最終処分場を開設していく取り組みを確実に前進させる必要があるとされました。加えて、福島第一原発の廃炉作業、その過程で発生する廃棄物や汚染水の管理・処分、敷地外に貯蔵されている汚染土壌の再利用と最終処分などを、地域の皆様に多大のご迷惑をおかけしていることを片時も忘れず、確実に前進させることに力を尽くことも大切とされました。
さらに、既存炉の寿命を踏まえれば、GXの推進には2050年までに新しい原発建設が必要だが、このためには、いまから再生可能エネルギーと共存し、新規制基準を満たす次世代炉を一定の経済性を有し、社会の求める要件を満たすものとして設計し、それを実現する投資環境、人材、サプライチェーンを整備していくことが重要であるとされました。懐妊期間の長い設備投資が必要であることから、それを可能とする投資環境をGX推進政策の一環として公的に整備することの重要性も指摘されました。
最後に、原子力界が総懺悔の証拠としてではあっても「安全性向上」という表現を使い続けることは正しくないと指摘されました。原子力関係者にとって大切なことは、重大な被害をもたらす可能性のある設備を扱うのであるから、新しい情報・変化に対して敏感に絶えずリスクを再評価し、それが社会の受け入れるリスクレベルを満足するように管理する「リスク管理を徹底し、その内容を社会と共有する」ことだと強調され、そのことこそ宣言すべしと、締め括られました。
記念講演の後、会場をラウンジに移して懇親会を開催しました。
はじめに代表一柳から「本研究会が設立から23年間の永きに亙り活動出来ましたことも会員・役員の皆様のご協力の賜物です」とのご挨拶がありました。
続いて副代表幹事で東京大学教授茂木源人様の乾杯のご発声により会がスタートしました。
サプライズのイベントでは、一柳アソシエイツ特製の似顔絵付きのスパークリングワイン3本が一柳代表から提供されました。ジャンケンにより当選者が決まるたびにドッと歓声が上がりました。更に参加者全員に当社特製の大型トートバックも贈られました。
その後一柳代表の指名により古くから参加された方から最近の方まで多くの会員・役員の方々からご挨拶を頂きました。
元あずさ監査法人の関口美奈様、ソフトバンクグループの三輪茂基様、出光興産フェローの柳生田稔様、幹事で東大教授の中野義昭様、東亜石油取締役の宍戸康行様、三井不動産の中出博康様、コスモエコパワー取締役の眞鍋修一様、BPジャパンの三原寛奈様の皆様です。
皆様から「この会でいろいろな方とのご縁をいただき、人生の豊かさを感じています」、「一柳代表のお力と魅力で、云わば呉越同舟の方々の集まりの会が永年に亙り維持できたことに驚いています」、「一柳代表の固いお話しから柔らかいお話しをお聴きすることが楽しみで参加していました、今後お聴きできなくなりさみしいです」、「人生100年、定年後の生き方まで教えて頂いています、今後実行して参りたい」等々のこれまでの思い出や感謝の言葉が述べられました。
最後に、副代表幹事の飯倉穣様の中締めの挨拶があり関東一本締めで締めました。
その後、『一流良雄が問う 日本の未来』のタイトルコールのポーズで記念写真を撮りました。
【近藤駿介様 ご略歴】
現 職】 原子力発電環境整備機構 相談役
東海大学国際原子力研究所 所長
1942(昭和17)年 7月 26日生まれ(82歳)
1965(昭和40)年 3月 東京大学工学部原子力工学科卒業
1970(昭和45)年 3月 東京大学大学院工学系研究科博士課程
(原子力工学専攻)修了 工学博士
1970(昭和45)年 4月 東京大学工学部講師(原子力工学科)
1971(昭和46)年 4月 東京大学工学部助教授(原子力工学科)
1984(昭和59)年 4月 東京大学工学部教授(附属原子力工学研究施設)
1988(昭和63)年 8月 東京大学工学部教授(システム量子工学科(旧原子力工学科))
1995(平成 7)年 4月 東京大学大学院工学系研究科教授(システム量子工学専攻)
1999(平成11)年 4月 東京大学原子力研究総合センター長(併任 平成15年3月まで)
2004(平成16)年 1月 内閣府 原子力委員会委員長
東京大学 退官
2004(平成16)年 6月 東京大学名誉教授
2014(平成26)年 3月 内閣府 原子力委員会委員長 退任
2014(平成26)年 7月 原子力発電環境整備機構 理事長
2024(令和 6)年 6月 原子力発電環境整備機構 理事長退任
(参考)
近藤様は、当研究会の勉強会に過去3回ご登壇頂いております。
〇 2006(平成16)年5月17日 第31回 勉強会
〇 2015(平成27)年3月10日 第93回 勉強会
〇 2016(平成28)年5月19日 第100回 記念勉強会