構想エネルギー21研究会エネルギー産業構造の変革期が訪れようとしています

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一柳が代表幹事を務める構想エネルギー21研究会の第152回勉強会を開催しました

2024.05.27 更新

2024年5月23日 当社社長一柳が代表幹事を務める構想エネルギー21研究会の第152回勉強会に東京大学先端科学技術研究センター附属エネルギー国際安全保障機構特任准教授飯田誠様を講師にお招きし『風力発電の今後の展開と技術的課題』との演題でお話しを頂きました。

【眞鍋氏】

 冒頭、当研究会会員のコスモエコパワー㈱眞鍋修一取締役から講師のご紹介と『風力発電産業の最新動向』についての説明がありました。
 はじめに飯田様から、風力発電の導入量の実績と今後の展望のお話しがありました。2022年の世界の導入累計量は陸上842GW(ギガワット)洋上64GWで合計906GWです。日本の実績は陸上洋上合計で4.8GWと世界の0.5%で16位以下となっています。ウクライナ危機以降各国はエネルギー安全保障意識の高まりもあって洋上風力開発計画を上方修正しており、2025年以降は毎年25GW以上の導入が予測されています。 日本も2030年導入目標5.7GWとして洋上風力発電の主力電源化を目論んでいます。

【 飯田誠 講師】

 洋上風力発電拡大のため、政府は世界第6位の面積を有する我が国のEEZ(排他的経済水域)での浮体式洋上風力の導入に向けて本年3月に閣議決定をしています。民間でも関電や三菱商事などの14社でFLOWRA(浮体式洋上風力技術研究組合)を設立し、世界に先駆けて量産技術を確立し、脱炭素に不可欠な浮体式風力の分野で世界標準を握るとの狙いを有しております。

 その戦略として、依然として高コストである浮体式洋上風力について、大量生産に向けてのコスト低減のため風車メーカーと浮体メーカーに加えて、これらをシステムとして統合するエンジニアリング事業者等が密に連携し、各構成要素を一つのシステムとして全体最適を図る必要があります。日本近海と同様の特徴を有するアジア等の海域への技術展開や国際標準化などのグローバルな議論をリードしていくことが重要であります。

 講師の飯田様は、環境・社会適合型エネルギー工学技術の追求を専門分野としており、この浮体式洋上風力の技術研究では、従来からの設計・建設・保守点検分野等の知見を総動員するばかりでなく、新たに地域気象データと先端学術による戦略的社会共創による気象再解析をも活用しております。
『100年後の子供たちのために、どこまで再生可能エネルギーを残せるか』をキーワードに、従来風力分野では十分な産業競争力を得ることが困難であったが、国も含めた協調体制が構築されてきている今を好機として、是非とも皆で連携、協力を促していきたいとの決意で結ばれました。

【講義風景】

 質疑応答では、「風力発電のコストダウンの可能性」、「グリーン水素と風力発電の役割分担」、「洋上風力発電と漁業協調・振興の関係」、「洋上風力発電の適正価格の考え方」などについての率直な意見交換で大いに盛り上がりました。

 今回の出席者からは、「今回が洋上風力発電分野で我が国が世界に伍して存在感を発揮出来る最後のチャンスと思われます。飯田先生には今後とも大いに頑張って頂きたい。」或いは「政府を含めた協調推進体制を構築し、国内需要に加え海外展開を展望する民間事業者の取組みに大いに期待したい。」などの声が有りました。

【懇親会風景】

【飯田 誠様 ご略歴】
 2001年,東京大学大学院工学系研究科機械情報工学専攻博士後期課程修了 博士(工学)、機械工学専攻助手、電子工学専攻助手、総合研究機構特任講師の後、教養学部教養教育開発機構特任講師、特任准教授を経て、
現在、東京大学先端科学技術研究センター附属エネルギー国際安全保障機構特任准教授を務める。

専門は、Sustainable Engineering、再生可能エネルギー(風力/波力)、流体力学・情報科学。風力発電のO&M研究、データ利活用研究においては先駆的に取り組みを進めている。

風力発電に関わる国プロや気象データ利活用プロジェクトのプロジェクトリーダなど、研究開発を先導する傍ら、経済産業省洋上風力ワーキング他、環境省などでの風力関係委員、新エネルギー財団風力委員会委員長、国内外風力発電標準化、IEA Windの専門家メンバなどを務める。また秋田県新エネルギー産業戦略策定委員、福島県いわき市や岩手県釜石市との復興支援をはじめとする地域での再エネ戦略つくりや地域の持続的社会創造に向けた活動にも取り組んでいる。

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